横浜 元町公園を徹底解説!プールや西洋館、ジェラール水屋敷地下貯水槽がある観光スポット
横浜の元町公園は、元町商店街から山手にかけての谷間(谷戸)に広がる公園です。谷戸の湧水が利用された「ジェラール水屋敷」の跡地に1930(昭和5)年開園。プールや弓道場が配置されており、春は桜の名所として知られる憩いの場。西洋館など歴史的な遺産も多く見られます。
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元町公園とは 歴史と見どころ
園内に「ジェラールの瓦工場と水屋敷跡(西洋瓦製造のはじめ)」解説板が設置されており、元町公園の歴史を知ることができます。
元町公園は、幕末に来日したフランス人実業家アルフレッド・ジェラールが製造した西洋瓦・レンガ工場並びに船舶給水業を営んでいた水屋敷の跡地に造られた公園です。
1923(大正12)年の関東大震災による崖崩れで工場が倒壊。その後は横浜市有地となり、1930(昭和5)年に元町公園と山手の湧水を利用したプールが建設されました。
水泳場管理事務所の傍らにひっそりと立っている年季の入った元町公園の石碑。
戦前の文体で記されているため読むのが難しいのですが、内容は先に紹介した「ジェラールの瓦工場と水屋敷跡(西洋瓦製造のはじめ)」と似ていて、昭和5年と記されています。
さて、そんな元町公園の案内図を確認してみますと、低地の公園中央部に「元町公園プール」、プール裏手に「元町公園弓道場」を備えているのが特徴です。
また、谷側(元町側)には「ジェラール水屋敷地下貯水槽」「ブラフ溝」などの歴史的遺産や記念碑が多く見られ、丘の上(山手側)には住居跡の「山手80番館遺跡」、西洋館「エリスマン邸」「ベーリック・ホール」「山手234番館」が立ち並び、観光的な見どころが多い公園です。
トイレは水泳場管理事務所に1か所、山手本通りに面した電話ボックスの周辺の広場に1か所あります。各所にベンチがあるので自然の中で休憩することができます。
ジェラール水屋敷地下貯水槽
元町公園は外国人墓地と隣接しています。
横浜山手西洋館めぐりをするときは、山手本通りに面している公園ということになりますが、元町から行くこともできて、元町商店街の東端(元町・中華街駅寄り)付近から住宅街に進んでいくと元町公園にあたります。
関連記事 ↓元町商店街から元町公園への行き方詳細はこちら
その道中にあるのが、国登録有形文化財「ジェラール水屋敷地下貯水槽」。
公園の北側入口近くに、飛地のポケットパークとして整備されています。
谷戸の地形にあり、現在も水が湧き出ている山手の湧水。
フランスから来日したジェラールは、この湧水豊富な谷戸の地、山手居留地77番・78番の土地を取得。横浜港に出入りする船舶への給水事業を開始し、施設は「水屋敷」と呼ばれるようになりました。
また、ジェラールは蒸気機関を導入した工場を建設し、西洋瓦・レンガの製造販売も手がけました。瓦や煉瓦を作るのには大量の水が必要となるのですね。
ジェラールの水屋敷地下貯水槽(下部貯水槽)は、かつての工場の入り口部分に位置していたそう。現在は鯉が泳ぐ池のようになっています。
また、元町公園の内部にもう一つの地下貯水槽(上部貯水槽)の存在が確認されています。
敷地内には複数の解説版があり、明治時代の横浜港の様子やジェラールの肖像や年譜を確認することができます。
日本の時代でいうと、ジェラールは江戸時代の生まれで没年は大正時代(1837~1915)となります。お隣の外国人墓地に眠っていそうなイメージですが、晩年はフランスの故郷で悠々自適の生活だったそうです。
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元町公園(谷側)水景美しい庭園や遊具
プール北側の元町商店街に面したエリアは、斜面を利用した庭園風の造りになっています。壁泉やカスケードで構成された「せせらぎ広場」の水景が美しく、周りは木々に囲まれているのでひっそりとした印象です。
壁泉から滴る水は湧水を利用したものだそうです。
せせらぎ広場の隣には現在、鑑賞用の池が整備されていますが、開園当時は児童用プールが置かれていたそうです。
その「旧児童プールの壁泉」が園内の別の場所に移設されていて、「大正活映撮影所跡」の石碑と共に並んでいます。
遊具広場には「我国塗装発祥の地記念碑」もあります。
遊具は滑り台の複合遊具とスプリング遊具があります。
階段を上った奥にある建物は元町公園水泳場事務所(管理棟)でプールの入口になっています。
管理棟前に現存しているジェラール水屋敷地下貯水槽(上部貯水槽)の写真入り解説板があります。
谷戸に湧き出る水は「上部貯水槽」に貯えられたのち、中間桝を経由して「下部貯水槽(国登録有形文化財)」に流れ込む構造になっています。この「中間桝」も元町公園内に確認されています。
管理棟前にはジェラールのもう一つの事業「ジェラールの瓦とレンガ」に関する解説板も設置されています。プール管理棟の屋根の一部に、この西洋瓦が用いられているそうです。
また、山手80番館遺跡(後ほど紹介)近くの塀にジェラール瓦の実物が展示されており、近隣施設の山手資料館の内部に複数のジェラール瓦が展示されています。
額坂
公園右側の階段は、元町側と丘上の山手本通りを結ぶ「額坂」です。
斜面に沿ってつくられた散策路となっており、迷路のようでもあります。
途中、「関東学院の源流 横浜バプテスト神学校発祥の地」の記念碑を発見。キャンパス内のチャペルを見たことがありますが、プロテスタントの大学だったんですね。
ブラフ溝のモニュメント。明治7~8年にかけてジェラールの要望で敷設された排水溝で、当時のものを見ることができます。
元町公園のプールと弓道場
額坂を上る途中で見たプールと管理棟。
プールの裏手にある弓道場。
山手80番館遺跡
坂の上、エリスマン邸の裏手に山手80番館遺跡があります。山手80番館遺跡は、関東大震災前に建てられた横浜に唯一現存する外国人住宅の遺構です。
ここは「ブラフ80メモリアルテラス」として整備されていて、建物の基礎部分や山手80番館に葺かれていたジェラール瓦などを見ることができます。
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山手西洋館
元町公園内に「エリスマン邸」、隣接する飛地の元町公園に「ベーリック・ホール」、山手本通りを挟んだ向かい側に「山手234番館」があります。
元町公園の3つの西洋館については下記の記事にまとめてあります。併せてご覧になってみてください。
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まとめ
山手通り沿いにあるレトロな電話ボックスも元町公園の見どころです。通りを挟んだ向かい側には「山手234番館」のほかに「えの木てい」「横浜山手聖公会」「山手資料館」などがあり、西洋館立ち並ぶ華やかな観光スポットになっています。
対して元町公園の下へ降りたあたりは地元の憩いの場になっており、調べてみるとジェラールメモリアルパークとネーミングしたくなるような場所でした。ジェラール水屋敷地下貯水槽などは穴場の観光スポットといえるかもしれません。
また元町公園は桜の名所として知られており、約100本の桜が公園を彩ります。
基本情報
- 名称:元町公園
- 住所:神奈川県横浜市中区元町1-77-4
- URL:http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/park/motomachi/